コラム記事

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    歯医者が考える「歯を残すこと」、「歯を治すこと」とは?

    こんにちは、ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科です。
    歯科診療の考え方としての、歯を残すこと、歯を治すことについてお話します。
    どんな条件であれば歯を残せるのか、治せるのか。歯を残すため、治すためにも、みなさんにもっと知っていただけたらと考えています。

    患者さんのご相談に多いのは、
    ・歯は残したいおきたい
    ・完全に歯を治療したい
    ・どうしても削りたくない
    ・歯を抜くのだけは避けたい
    ・インプラントはいやだ

    といったご要望です。歯を抜くことなく、自分の歯だけで生活していきたい。というのが、みなさんの根底にあると感じています。それは十分理解できます。歯を抜きたい、と考える方はほぼいらっしゃらないはずです。

    歯を残すのと歯を治すのは違う。

    似ているようですが、その意味はまったく違うのが、歯を残すことと、治すことです。そのことを知っていただきたいので、最後までお読みいただければと思います。

     

    なぜ歯を残すのか、どうしても歯を残すときの理由とは

    その理由として以下の6つを挙げてご説明します。
    ========================
    ① 虫歯が大きくなり、歯の上部がなくなっているため治療できないが抜かずに残しておく。

    ② 歯が二つに割れてしまったが、抜かずに残しておく。

    ③ 歯周病が進行しているため歯がぐらぐらになっているうえ、膿も出ているが、自然に抜けるまで歯を抜かずに残す。

    ④ 歯が薄くて治療すれば抜くことになるため治療はせず、様子を見る。

    ⑤ ときどき歯の痛みを感じるうえ、ひびが入っているが、抜くことになるかもしれないため治療を行わずにそのままにしておく。

    ⑥ 以前膿んでいたが、現時点では膿んでいない歯は、定期的に歯のクリーニングをして様子を見る。今後の状況によってはできる対応を検討していく。
    ========================

    このようなケースがあるのですが、そんなことがあるのか、と意外に思う方もいらっしゃることでしょう。 しかし実際にこのようなケースがあり、選択肢としての現状維持の場合もあるのです。
    歯を残すことでのメリットは、機能していなくても歯を残す。ということ。
    そして歯を残すデメリットには、現在の症状に痛みがあっても、治療しないため改善しない。違和感も変わらない、ということ。

     

    歯の痛みや違和感を取り除く、改善する目的で歯を治すこと。

    今後発生するであろう症状、痛みや腫れの原因を取り除く目的。

    歯を残すことでは、次のようなことで対応します。
    ========================

    ① 大きな虫歯で痛みがあり、さらに神経を取る可能性があっても、虫歯を処置する。

    ② 歯が二つに割れているが、痛みや腫れの症状はないが、この先症状が出ないように歯を抜く。

    ③ 歯周病が進行していることで歯がぐらぐらしているうえ、腫れて膿んでいることから抜歯するほかないということで、歯肉の腫れを改善するためにも歯を抜いた。

    ④ 歯は残っているものの、薄いため治療によって歯を抜く可能性が高いが、不安を解消するためにも治療を行う。

    ⑤ 歯にひびが入っていて痛みの原因にもなっており、歯として機能しないためその歯を抜いた。

    ⑥ 周期的に繰り返し膿んでいる歯に違和感があるため歯周外科処置を行った。
    ========================

    歯を治すメリットは、原因を取り除き、痛みや違和感の改善
    歯を治すデメリットには、歯を残すのは困難であるという判断により最終的には歯を抜くことになる。

     

    このように、歯を残すことと歯を治療することには大きな違いがあるのです。
    比べてみると、歯を治したほうがよい、と思うかもしれませんが、ほとんど痛みはないか、ちょっと痛いくらいの歯でも、診察してみると、その状態が悪く、抜歯になるかもしれない、と言われたら。

    そのときみなさんは歯を残しますか?それとも治しますか?

    このことを十分理解していただいたうえで、選択していただきたいのです。
    この先、悪くなるかもしれない、周囲組織にも悪い影響があるかもしれないというのであれば早期治療という考え方もあるでしょう。
    現状では特に問題なく生活できている、生活の質、QOL(「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の略称)に支障をきたしていない、ということであれば痛みなどの症状が出るまで現状維持する、という方法もあると思います。
    そのような場合には経過観察しながら進行具合も確認したうえで、今後の方針を決めていけばよいのです。
    治療した方が結果としては望ましい、ということが明確にわかっているケースや、その進行状況などによっては抜歯しなくてもよいときもあります。

    最後に選択するのは患者さんの生活状況や、価値観による決断です。
    大切にしていただきたいのは、ご自身の歯について認識することです。
    そんなに痛くないから、と歯科で診察を受けることなくそのままにしておいたことで、どうすることもできなくなってしまう方はとても多いのです。痛みがなくても歯の状態が悪くなっている、虫歯が進行していることは珍しいことではありません。

    そうなってしまってからではよく噛める歯、審美的にも美しい歯、のような健康的な歯の状態にするためには費用も時間もかかります。
    さらに言えば、歯科治療というのは、どんなに時間と費用をつぎ込んでも、決して再生することにはなりません。あくまでも修復なのです。一度悪い状態になってしまった歯は絶対に元通りの歯には戻せないのです。
    ですからご自身の歯についてはしっかりとその現状を把握し、正しく認識してほしいと思います。そうすることで少しでも長く、ご自身の歯の健康を守ることにつながります。ですから口の中のことをもっと気にしていただきたいのです。

     

    そしてもうひとつ。
    歯を削るときと、歯を削らないときの違いに関してのお話です。

     

    歯を削るべきか?歯を削らないのか?

     

    歯を削るべきかどうか、についてはその時点での歯の状態によっても異なり、そもそも患者さんの価値観による選択で決まります。そのためこんなときは歯を削る、ということは一概には言えません。ここではわたしの判断についてお話しします。

     

    こんなときは歯を削るべき

    ①虫歯が大きくなるペースが早い。急激に大きくなっていると思われるとき。

    ②C3(重度)以上の虫歯である。

    ③C2(軽度)以上の虫歯があるのに歯磨きできない位置にある。

    ④歯と補綴物の間に隙間があるときや虫歯になっているとき。

    ⑤明らかに補綴物が合っておらず、不適合といえるとき。

     

    こんなときには歯を削らない

    ①虫歯の進行度合いが緩慢とみられるとき

    ②C0、C1(経過観察)の虫歯である

    ③C2(軽度)の虫歯だが、歯磨きできる位置にある

    ④補綴物自体の劣化であり、その度合いが軽度とみられるとき

     

    このようなときでも、やはり患者さんご自身が、現在の歯がどんな状態であるか、歯の現状を正しく知ることであると考えています。
    不十分な理解で、誤った自己判断をしてしまうと、適切に歯を治療できる時期を逃すことになりかねません。

    先ほどにも述べましたが、適切な時期を逃してしまうと、歯の治療のために費用も時間もかかることになります。
    だからこそ、定期的に歯科検診を受けること、そして歯科医院でのメンテナンスと併せてご自身でのお手入れもきちんと継続することが不可欠です。

    ご自身の歯の状態をしっかりと把握しておくことが、歯を維持するためにもいちばん大切なことなのです。
    ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科では、患者さんご自身が歯の状態を知るための正しい口腔ケアとして、歯のクリーニングや丁寧な診療を行ってみなさんの歯を守り続けます。歯についてお悩みの方、気になることがある方はぜひ一度、ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科にご相談ください。


    完全個室でプライバシーを重視した治療ができるデンタルクリニック
    ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科 矯正歯科
    〒213-0001 神奈川県川崎市高津区溝口1丁目5-5スターブル溝ノ口 1F
    tel.044-813-1810
    溝の口の歯医者 歯科|専門分野のエキスパート在籍|歯科用CT、インプラント専用オペ室、クラスB規格の高圧蒸気滅菌器完備|世界基準の滅菌レベル|独自の麻酔テクニック


     

    2023.01.28

  • column

    歯医者で定期健診をきちんと受けていますか?

    はじめまして、ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科です。
    ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科は、溝の口駅から歩いて3分のところに歯科医院を開設致しました。

    定期検診を受ける必要があるのか?についてお話していきます。
    まず、生活習慣を整えるということのひとつがお口の中のメンテナンスになります
    食べることで人間は体を維持していますが、その食べることを支えているのがお口の中、歯や歯ぐきの健全な状態でこそできることです。
    また、しっかりと話すこと、会話を楽しむこともお口の中が健康であればこと可能なことです。

    かみ合わせに問題があれば姿勢や発音にも影響があり、それは生活の質にもダメージを与えることがあります。
    かみ合わせといえば、しっかりと噛んで食べることが食事の楽しみでもありますが、バランスのとれた栄養をとり、適正なかみ合わせがおいしく食事を楽しむことにもつながっています。
    健康長寿の方の多くは高齢になっても自分の歯で噛める状態であることも知られています。
    人生100年時代とも言われるようになり、健康長寿という言葉もあるように、歯の健康、お口の中の健康度合いも健康長寿に大きく関係しています。
    少しでも長い間自分の歯でそしゃくできることは、脳の働きを活性化することにも有効であると言われており、お口の中のメンテナンスをすることは、全身の健康維持にも非常い意味のあることだとわかってきています。
    口腔ケアによって健康管理への意識もより高まり、ご自身の健康管理を通して生活の質、QOLを高める効果もあるのではないでしょうか。

    歯科医院での定期健診では、お口の中の状態を確認し、患者さんひとりひとりに合ったメンテナンスをご提案しています。

    ご自身のお口の中を知り、歯科医院でできる口腔ケアや毎日のお手入れをストレスにならずに続けることが患者さんの歯を守るために最も大切なことだと考えています。
    生活の予定に合わせたメンテナンス計画で、お口の健康を維持し、感染症対策として自己免疫力を高めるためにも、ぜひお気軽に歯科での定期検診を活用していただければと思います。

    お口の中にある細菌とは

    わたしたちの口の中には多くの細菌が存在しています。

    そしてその口の中の状態によっても菌の数が大きな変化を起こします。
    現在わかっている研究によると、人が持っている細菌の種類は、30代前半までにはほぼ決まり、それ以降は存在している細菌の数こそが歯周病を引き起こすことと関連して大きな問題になると言われています。

    そしてさらに、歯周病に感染して、その後進行してしまい歯周病が重症化すると、全身の健康状態にも大きな影響があることも分かってきました。
    なかでも、生活習慣病といわれ、死亡原因の上位でもある疾患、糖尿病、心筋梗塞、狭心症、誤嚥性肺炎などの生命にかかわる疾患にも歯周病は重大な影響があると考えられているのです。

    これはまちがっても歯周病を決して軽く見てはいけない、という大きな根拠にもなるのではないでしょうか。

    もし少しでもお口の中に違和感があれば早めに歯科医院を受診していただきたいと思う理由でもあります。

    場合によっては早めの受診が費用や時間を抑えることにもつながります。

    お口の中の違和感は決して先延ばしにしないですみやかに受診されることをおすすめします。
    さまざまなウイルスへの感染についても、その感染経路は口や鼻からであると考えられており、口の中の状況によっては早期に肺炎のような重篤な症状へ移行してしまう可能性もあります。
    定期健診を活用したお口の中のケアはさまざまな角度から見ても重要なことであるとおわかりいただけたのではないでしょうか。

    定期健診をすすめる理由

    みなさんは歯科の定期検診に行っていますか?

    これまでにお伝えしたように、お口の中の健康状態が全身の疾患にも大きな影響を与えています。

    ですからお口の中、口腔内のケアを行うこと、定期健診で虫歯や歯周病の早期発見、早期治療を行うことは全身の健康管理にも大きなメリットになると考えていただきたいのです。

    定期健診というと、

    時間をとられて面倒だと考える方もいらっしゃるかもしれません。
    しかし定期健診をしないで、もし何年も歯科検診を受けていなければ、それだけ虫歯や歯周病へのリスクが高まります。お口の中の異変には必ずしも痛みを伴わないこともあり、痛むがなければ異常があるとは認識しづらい部分もあります。
    痛くないから歯科検診にはいかないですませていた。しかしいざ受診してみると、歯周病がかなり進行していた。ということになっていれば治療するため、あるいは少しでも改善するために費用も時間も必要とします。

    最悪の場合は歯を失ってしまうリスクもあります。

    さらには生活習慣病などを発症するリスクまでかかえることになり、歯科医師としても看過できる問題ではありません。
    正直なところ、せっかく検診にきていただいても手の施しようがない、というのは非常につらいものです。どうしてもっと早く来てくれなかったのか、と思うことがこれまでにないわけではありません。
    患者さんのご要望に応じてそれぞれに合った診療を行っています。定期健診の間隔状況やご希望に併せて設定することも可能です。歯科医院での定期健診をためらうことなくご自身の健康管理の一環として活用していただきたいと思います。

    ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科では、歯周病の治療への取り組みの一環として、超音波で歯石を除去しています。

    さらにその際、口腔内殺菌・消毒作用のある薬剤を使用した殺菌で、歯肉の炎症を抑制が期待される治療を行っています。
    歯石など歯の汚れをそのままにしておくと、歯肉炎になりやすくなってしまいます。
    そして歯肉炎になれば歯ぐきが腫れて炎症を起こします。歯磨きの時に歯ぐきから血が出ることがあればそれは歯肉炎です。
    歯肉炎を改善させなければ歯肉炎から歯周炎に進行してしまうことにもなりかねません。
    歯周炎になってしまうと、今度は歯ではなく、歯を支えている骨が溶け始めるという最悪の辞退が起こります。歯を支える骨が溶けると、歯を支えきれなくなり、歯がぐらついてきます。

    こうなると、支えられなくなった歯が倒れてきていずれ歯を失ってしまうことになります。
    歯肉炎の状態であれば、きちんと歯磨き指導を受け、ていねいな歯磨きや補助的なお手入れを併せて行うことで歯肉炎を改善し、歯周病を予防することにつながります。

    まずはご自身のお口の中の状態を把握し、すぐにできることから始めていただきたいのです。
    お口の中のことなので、ふだんは見えない場所ではありますが、歯を支えているのは骨であり、お口の中を守っているのはたくさんの細菌でもあります。
    どのような細菌がお口の中にあり、骨や歯はいまどのような状態にあるのか。
    レントゲン撮影でご自身の状態を確認することで、これからできる取り組みをいっしょに考え、将来の健康づくりをお手伝いします。

    ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科は、朝10時から診療を行っています。出勤前のご来院によるクリーニングなどのメンテナンスで、お手入れの行き届いた健康的な口腔内でお仕事に臨むことも可能です。
    溝の口で歯科医院をお探しでしたら当院にお気軽にお問い合わせください。


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    2023.01.28

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    どんな口腔内だと虫歯になってしまうの?

    こんにちは、ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科です。

    歯が痛くなった時、最初に考えるのはやはり「虫歯になったのだろうか?」という方が多いのではないでしょうか。痛みが起きるとまず心配になる虫歯、う蝕・カリエスのことを詳しくお話しましょう。これまでにも繰り返しお伝えしてきましたが、虫歯や歯周病とは、細菌によって発生する感染症であるということ。
    厳密に言えば感染症と言い切ることはできないのですが、あえてこのような言い方をしています。なぜこんな言い方をしているか、についてもお話します。
    虫歯学(う蝕学)、とは別名「カリオロジー」と言われています。歯科検診などで見たことがある方もいらっしゃると思いますが、C1、C2、C3、C4などと虫歯の進み具合を表す表記はカリエス(Caries)からきています。虫歯の予防には、なぜ虫歯になるのか、その原因から知っていただくことこそが予防になると思います。

     

    口の中の常在菌が虫歯の原因!

    かつて、虫歯の原因となるのは、ミュータンスレンサ球菌である、とされてきました。それが、この細菌が実は常在菌であること、虫歯ではない口の中にも存在することがわかったため、「虫歯になるのは原因となる細菌が存在しているからだ」とはいえないことがわかってきたのです。
    ※常在菌とは、病原性がなく、だれにもある細菌のことです。
    いまでは「生態学的プラーク説」に支持が集まっていて、その考え方は、「虫歯を起こす細胞が存在する」のではなく、誰の口の中でも存在している常在菌の関係性こそが虫歯の発生に関与していて、

    虫歯になる条件を満たすことで虫歯が発生する

    という考え方です。
    いくつもの細菌が集まって歯に張り付いてしまうことをバイオフィルムといいます。プラークという言葉も同じような意味を持っています。バイオフィルムとプラークを同じものであるとするか、違うものとするかは考え方にもよります。どちらも細菌の集合体であり、虫歯や歯周病の原因になることには変わりありません。

     

    食後に酸性に変わってしまう口の中

    では、phと聞くと、学校の理科で習った記憶がよみがえる方もいらっしゃるでしょう。その授業のような内容で説明します。phは「水素イオン指数」と呼ばれ、酸性やアルカリ性の度合いを表すものです。簡単に言うとph7が中性、これより数字が低いと酸性で、口の中が酸性になると歯にとっては良くない環境ということになります。
    食べ物にはいろいろな糖が含まれており、お菓子などの甘い糖のほか、ごはんなど炭水化物の糖質もその「糖」のひとつです。糖はバイオフィルムの細菌が、糖をエサにして酸を作ります。そのためphの数値が下がります。
    ただし、唾液の能力として口の中が酸性になっても、2時間くらいで中性に戻すことができ、口の中で中性を保てるようになっています。ふだんは、口の中が一時的に酸性となっても、虫歯になってしまう前に歯の安全を確保する中性に戻ります。

     

    脱灰と再石灰化のちがいは

    食べ物や飲み物を口にするたびに口の中のphは変わります。食後ならphは酸性となり、脱灰し始めます。この、「脱灰」とは、歯の表面のエナメル質などが溶けることです。ただ、phが7を下回ったからといってすぐに脱灰し始めるわけではありません。脱灰し始めるphを臨界phと言いますが、場所によっても異なります。エナメル質なら約ph5.5、象牙質であれば約ph6.0が脱灰し始めると言われています。これよりさらに酸性に傾くと、脱灰し始めると考えられています。
    たとえ何を食べたとしてもphは、下がるので、食事をする限りphが下がるのは避けられません。
    ただし、食後30分から1時間半くらいのあいだに、唾液のはたらきで徐々にphは7に戻り脱灰があまり進むことにはなりません。もはや脱灰しない程度にまで回復するときにはいわゆる「再石灰化」が起こります。歯の表面を脱灰から自然に回復させる能力が人間には免疫機能として備わっているのです。豊富な食べ物にあふれた現代のわたしたちには、こうした治癒能力がなかったらみんな虫歯だらけになっていたことでしょう。

     

    免疫機能だけで虫歯を防げないの?

    ここまでの説明で、
    ・糖をエサにしたバイオフィルムが酸を作るから歯は脱灰してしまう
    ・免疫機能である唾液のおかげで虫歯にならないよう再石灰化という仕組みがある
    という脱灰と再石灰化のことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
    それでは、なぜ虫歯になるのか、という話になりますが、食べ物や飲み物を口にするたびに脱灰しても、唾液が再石灰化を促し、虫歯にさせない仕組みがあります。
    この仕組みがあっても虫歯になってしまう3つの条件があります。

    ・糖をたくさん、あるいは頻繁に摂取している。

    ・バイオフィルムの多さ

    ・唾液の少なさ

    この3つの条件がそろってしまうと、脱灰と再石灰化のバランスを保つことができず、脱灰が起こりやすくなってしまいます。大量に、または頻繁に糖を摂取していると、酸によって脱灰する機会も増えてしまい、唾液による再石灰化も追いつかなくなる、ということになるのです。

    脱灰が再石灰化より多くなること。

    その状態が長くなり、継続されてしまうほど虫歯にもなりやすい、ということになります。それを図で表したものが、「ステファンカーブ」です。

    3大虫歯リスクとは?

    ・糖をたくさん、あるいは頻繁に摂取する。

    間食の多さはひときわ高リスクです。糖そのものにリスクはありますが、一回の摂取量より頻度を気にかけたほうが良いでしょう。
    食事と食事の間隔がとれていると、phが中性に戻ります。中性に戻らないうちに次の食事を取ったり、間食をして口の中に食べ物を入れてしまうと、中性になる前に下がったままのphは更に酸性になります。下がってしまったら中性に戻るまでの時間も要することになります。
    虫歯のリスクを高めてしまうのは、食事の間隔の短さや間食の多さです。
    間食などおやつを食べ続けたり、ジュースなどの飲み物を頻繁に飲んでいたりすると、リスクは高まるのです。

    ・バイオフィルムの多さ

    きちんとていねいに歯磨きできているかに関わってくるのがこのバイオフィルムです。とても判別がしやすくなります。
    ふだんからしっかりと隅々まで歯磨きをして、酸を作る細菌を減らしましょう。バイオフィルムが多いと、細菌が酸を作りやすくなり、増えて多くなってしまいます。歯磨きをしっかりしないこと、自分でメンテナンスしないことも、虫歯になる高リスクなのです。

    ・唾液の少なさ

    再石灰化させるために、口のphを中性に戻すためには、じゅうぶんな唾液が不可欠です。もし唾液が少なければ虫歯のリスクが高い、ということです。余り噛まないで食事をしていたり、高齢者に多くみられる口腔乾燥症であったりすると、唾液は少なくなってしまいます。
    また、しっかりと噛めなくなっているのであれば、噛んで食事できる口腔状態にする必要があります。
    口腔乾燥症の場合は、口の中が適切に潤った状態を維持できるように対策したり、次回にご紹介する「フッ素」を使った方法などでの対策を行うことが重要です。

     

    細菌感染が虫歯とは限らない

    最初にお伝えしたように、厳密に言えば感染症と言い切ることはできません。
    なぜかというと、虫歯になる原因の1つとされるミュータンスレンサ球菌は、赤ちゃんの口内にはありません。成長するにつれての感染も防ぐのが非常に困難なため、全ての人がこのミュータンスレンサ球菌に感染していると言えます。
    虫歯になる原因として、生活習慣の乱れがもとになり、バイオフィルムの酸生成とphバランスが崩れて起きる疾患である、という考え方から、「細菌感染=虫歯」と断定することはできません。

    虫歯の原因を知ることから始まる虫歯予防

    歯の原虫歯の原因は何かということを理解し、日頃の生活習慣を整える、歯磨きなどの自分でできる歯のお手入れを丁寧に、歯科で定期的な歯のクリーニングを行うことが、虫歯予防にはとても重要です。
    今回は「どんな口の中だと虫歯になるの?」ということに着目しました。

     


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    2023.01.02

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