歯を削る・削らない……これは歯医者さんによって異なるの?
コラム記事
こんにちはハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科 矯正歯科です。
歯医者さんに足を運ぶ人の多くは、「できれば歯を削らずに治したい」と考えていることでしょう。「歯を削らずに治せる歯医者さんのところを選びたい」と思う人もいるかもしれません。
しかし、「歯を削るか、それとも削らないか」は、歯医者さん自身のスタンスや技量というよりも、「そのときの患者様の口腔内の状態」によるところが大きいといえます。
ここでは、
- そもそも、なぜ歯は削るのか~昔と今の治療方針の違い
- 歯を削らなければならないケースとはどんなものか
- 歯を削らないで済むためにできること
の3つを取り上げて、「歯を削るのか、削らないのか」について解説していきます。
そもそもなぜ歯を削る必要があるのか?~昔と今の治療方針の違いについて
そもそも、なぜ歯を削る必要があるのかを考えていきましょう。
かつて虫歯は、「放置していても治ることはない」「虫歯は自然治癒しない」と考えられていました。また虫歯は放置しておくと神経にまで達します。その過程で強烈な痛みを伴いますし、炎症やほかの病気を引き起こすこともあります。歯科衛生学が発達した現在の日本では考えられないことではありますが、かつては虫歯から敗血症にいたり、死亡してしまう人までいました。なお、虫歯菌が首よりも下の場所にまでまわってしまった場合、5人に1人は命を落とすといわれています。
加えて、現在では当たり前になった「1日に2回以上歯を磨く」「毎日歯を磨く」という習慣も、昔の日本にはありませんでした。たとえば昭和44年の段階では、「毎日は磨かない」と答えた層が20パーセント以上存在しましたし、毎日磨く人のなかでも「1日に2回以上磨く」と答えた人は、わずか17パーセント程度しかいませんでした。
このような状況は、意外なほどに長く続きます。たとえば昭和56年の段階でも、「毎日は磨かない」と答えた層が1割近くいますし、「1日2回以上歯を磨く」と答えた層も半分以下にとどまっています。昭和62年の段階で、やっと「毎日磨く」と答えた人が93パーセント以上となり、「2回以上磨く」と答えた人が過半数を超えることになります。
このような状況においては、「虫歯になった歯を治療せずにそのまま放置しておくこと」は、文字通り命取りになりかねませんでした。そのため歯医者さんは、虫歯の進行を止めるために、歯を削って物理的に虫歯菌の侵攻を食い止めていたのです。今から40年ほど前に歯の治療を受けた人の多くが、「歯は削って治すものだ」という感覚を持っているのはこのためです。
しかし現在は、このような考え方も大きく様変わりしています。
平成28年の段階では、「毎日歯を磨く」と答えた人は95パーセントを超えており、1日に2回以上歯を磨く人の割合も77パーセントとなっています。1969年にはわずか1.8パーセントしかいなかった「1日に3回以上歯を磨く人の割合」も、2016年には27.3パーセントと3人~4人に1人程度にまで増えています。
また、昔とは異なり、現在では「本人の気づかない虫歯であるならば、フッ素を使ってしっかりブラッシングすることで治せること」が広く知られるようになりました。そのため、昔に比べて「歯を削らないで行う治療」もできるようになってきたのです。
それでも歯を削らなければいけない……それはどんな状態のとき?
このように、2022年の現在では「歯を削って治す」という方法をとらずに済むことも多くなっています。
ただそれでも、歯を削って治さなければならなくなる可能性もゼロではありません。
たとえば、虫歯の進行が非常に進んでいる状態の場合は歯を削る必要が出てきます。
人間の歯は、歯髄の上に象牙質があり、さらにその上にエナメル質が存在しています。エナメル質は非常に硬いものですが、虫歯の進行が進み、象牙質にまで至ってしまった場合は、「歯を削る」という方法でなければ虫歯菌の侵攻を止めることができなくなります。
このまま放置しておくと虫歯がどんどん進行してしまいますし、場合によっては歯そのものを失うことにもなりかねません。
また、すでに虫歯が進行していて、歯が欠けてしまっていたり、穴が開いてしまったりしている場合も、削る処置が必要になります。
ちなみに現在は、「薬剤を使って虫歯菌を殺したのち、殺菌効果を有するもの(セメント)で歯をふさぐ。その後に歯に詰め物をする」というやり方で対応する方法も出ています。この方法の場合は、目に見えない虫歯の取り残しのリスクはありますが、削る部分が少なくて済むというメリットがあります。
また、虫歯菌に侵された部分を特殊な薬剤で溶かして、器具でその虫歯部分を取り除くという方法もあります。このような方法をとれば、たしかに歯を削ることなく虫歯に対抗することが可能です。
ただこの方法は、いずれも自費診療です。保険の適用範囲外での施術となるため、費用は高くつきます。保険の場合は自己負担は1割~3割で済みます。自費診療の場合は10割を自分で払わなければなりません。
歯を削りたくない! 自分でできる対策とは
このようにみていくと、「現在は昔に比べて歯を削らなければならなくなるケースは少ないし、自費診療でもよければある程度進んだ虫歯であっても削る量を最小限にすることはできる。しかし、基本的には『侵攻した虫歯の場合は、削らなければ治せない』と言える」となるでしょう。
では、このような「削らなければならない状態」にならずに済むためにはどうすればよいのでしょうか。
最後にこれをみていきましょう。
まず、もっともおすすめなのが「定期健診に通う」ということです。
上でも述べたように、現在は最初期の虫歯ならば削らずに治すことができます。定期健診によって歯の状態をチェックし、その都度対応をしていくことで、削らなければならない状態にまで虫歯が侵攻するリスクを格段に減らせます。
日々のお手入れも大切です。
歯の石灰化を促せるフッ素を使いましょう。フッ素入りの歯磨き粉などを使い、毎日丁寧に歯を磨くのです。これによって、虫歯ができにくい歯を作ることができます。
なお、歯を磨いた後は口をすすぐことになりますが、すすぎすぎるとフッ素も取れてしまうのである程度加減して行いましょう。
フロスを使って、歯の隙間の汚れを取り除くことも重要です。歯磨きだけでも50%の効果はありますが、フロスを使って歯の間の食べかすなどを取り除くと、さらに虫歯になりにくくなります。
日々の生活の見直しを行うことも重要です。甘い物の食べすぎや、いわゆる「だらだら食い」を避けるようにします。ちなみに、喫煙をしている人は、非喫煙者に比べて口内環境が悪化しやすく、ヤニによって歯垢(プラーク)も発生しやすい状況にあります。体全体の健康も考えて、煙草もやめましょう。
令和の現在に生きる人たちは昔に比べて衛生観念が発達しているので、歯を削る状況になることはそれほど多くはありません。また、「歯を削るか、それとも削らないか」は歯医者さんの技術やスタンスによって決まるというよりも、患者様の口内環境によって異なると考えた方がよいでしょう。そのためには、日ごろのお手入れと定期健診、生活の見直しが非常に重要です。
ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科 矯正歯科でも定期健診を行っています。
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溝の口の歯医者 歯科|専門分野のエキスパート在籍|歯科用CT、インプラント専用オペ室、クラスB規格の高圧蒸気滅菌器完備|世界基準の滅菌レベル|独自の麻酔テクニック